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メディアとの距離感について考える
最初に、事件の進展とと同時進行でこのサーベイをやっていきたいと思います、と言ったわりにはたいした情報もお伝えできなかったことを心苦しく感じていたのですが、今日はこんな情報をみなさんにお知らせします。 24日夜の報道ステーションでは「ピアノマンはドイツ人説が濃厚に」という形でこのニュースを報道しました。4年前、イタリアに住むホテルの主人が、路上で寝ている男を保護して1ヶ月くらい泊めてあげた。その男の名前は「ミヒャエル・バルトリンク」といって、宿帳にはドイツのある村の生まれ、と書いていた。彼はオルガンをよく弾いていた。そして、ミヒャエルさんは1ヵ月後、何も言わずにまたどこかへ行ってしまった。ホテルの主人いわく「ピアノマンは彼に間違いない」。 テレビ朝日のスタッフがドイツのその村へ行ってピアノマンの写真を近所の人々に見せると、彼らは口をそろえてこう言った「ピアノマンはミヒャエルに間違いない」。ミヒャエルは両親と一緒にその村で暮らしていたのだけれど、両親が死んでしまうと何も告げずにどこかに行ってしまった……。ミヒャエルは1963年生まれ、42歳……。 みなさん、どう思いますか? でもそう言われても、自分では確かめようもないし、ピアノマン本人は何も言ってないし、我々報道する人間も、実際のところ、確実にそうなのだ、と断言できる材料は何もないのです。いやはや、実に不思議なニュースです。 投稿の中にこういうのがありました。「一体、どうやって生きてきたら世界中に報道されても誰かわからなくていられるのでしょうか?」全く本当にその通りですね。 テレビというのは、おしなべて決めつけたがるメディアです。AなのかBなのか、あっちなのかこっちなのか、賛成か反対か、白か黒か。その中間とか、あっちでもありこっちでもある、なんていうのはダメだとテレビは言うわけです。僕らテレビメディアは、自分のことを棚に上げて、AかBかはっきりさせないと気がすまない、やや偏執症的な傾向にあることは疑いのない事実だと思います。 つまり、今回のピアノマンのニュースに関して言えば、最初は情報の制限されているミステリーでよかったのですが、そのうち、情報もたいして進展しないし、本人は出てこないし、演奏は出てこないし、ちょっとここのところ飽きてきたし、もうこのへんでピアノマンが誰なのかはっきりさせたい、映画の宣伝なら宣伝ということでいいからはっきりさせたい、とテレビとそれを見ている人の何人かは、少しイライラしているような気がしているのです。 昨日、このニュースのポイントは情報の圧倒的少なさにある、と僕なりの考えを書いたのですが、人間というのはやっかいなもので、今度は逆に、そのあまりの情報量の少なさにつまらなさを感じて、もういいや、と思ったりしてしまう。人生というのは本来そういう相反するものが混在しているものなのですけれどね。なかなかテレビはそういうものを受容できなくて、単純さやわかりやすさに走って、自分の首をしめていくことになったりするのです。 僕らメディアの人間は、実にまあ、ニュースを瞬く間に消費していくものだと思います(我ながら、です)。それに比べて、このサーベイに投稿してくださるみなさんのメディアとの距離感は素晴らしい。例えば、ピアノマンが誰なのか「それは私自身が知らなくてもいいことだと思ってます。彼が帰るべき場所に帰れたという結末だけわかればよい」momo-canさんですとか、「こんな事件が起こりました、は大きく報道するけど、犯人が捕まりました、のニュースはもう小さいですよね」と言う有依さん。 ニュージーランドのMrs.Morryはこう言っています。「こちらニュージーランドではピアノマンのニュースは聞いたことがありません」。なるほど。世界中で報道されている、なんて嘘っぱちもはなはだしかったですね。考えてみれば、北朝鮮とかトンガ王国とかタジキスタンとかそのあたりではピアノマンニュースは報道されていないような気がしますよね。でもMrs.Morryさん、チャンスです。ご主人か、近所の人に今晩、「実はね、イギリスの田舎町でこんな話があるのよ……」とピアノマンの話をしてみる、というのはいかがでしょうか。それも、僕はニュースの伝わり方のかなり重要なポイントに違いないと思っているのですけれど。 さて、明日はさらにこのピアノマンニュースの謎に肉薄したいと思うのですが、もしよろしかったら「レッサーパンダの風太」について何かご意見をお持ちの方がいたら、投稿していただけると嬉しいです。何の関係があるのだとお思いでしょうが、ピアノマンのニュースについて考える上での一つの切り口にしたいと思います。投票・投稿をお待ちしています。ではまた明日! |
『報道ステーション』チーフディレクター |
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