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性犯罪が増加傾向にある今の日本で
今のポルノの被写体は圧倒的に女性が多いのですが、江戸時代の春画は、男女の裸体を描いて、両方が心から性愛を歓んでいる様子が表現されています。そこには、「男が見て楽しむ側、女は見られて男の快楽のために使用される側」という現在のポルノの二分化はまったくありません。こうした人間性豊かで本当の官能を表したエロティカ表現が、かつての日本はあったことを、版画の優れた芸術性とともに、私は誇りたいと思います。 一方、現在のポルノの問題は、女性の精神性や人間性が剥奪され、ただの肉欲の対象のパーツとして貶められていることにあり、そうした女性観を、見る子どもや大人の男性たちに植えつけることです。 もっとも、人間にはさまざまな欲望の嗜好性があり、人によってはSM趣味の人もいるかもしれません。たとえ一般の人には痛そうに見える行為でも、当事者の男女両方が性の歓びを得ているのならば、それは暴力ではなく、性愛の一つのバリエーションです。ポルノでも、出演している女性が本当に望んでいる行為が行われているなら、必ずしも人権侵害、暴力ではありません。 でも、たとえ本人が望んで、好きだから出演したとしても、その女性はなぜポルノに出演することになったのか、経済的背景まで思いやる必要が、私たち大人にはあると思います。 つまり、女性は就労の機会が男性と平等ではなく、年収も男性の平均賃金を100とすると女性の平均は今でも70以下です。雇用関係も不安定で、お金に困った女性の前に、手軽で簡単にお金になるという甘い言葉で誘われていきます。私たちの社会そのものに、女性をポルノや性風俗産業に追いこんでいく下地があることも忘れてはなりません。 そもそも、ポルノがないと社会の治安が乱れるから必要だ、という考え方は、本当なのでしょうか? 大昔の性犯罪のデータがないので、私にもよくわかりませんが、今ほどマスメディアや流通が発達していなかった江戸時代は、それほど多くの人が春画を見ていたわけではありません。『赤毛のアン』の時代の19世紀末のカナダでも、おそらく今のようなポルノは皆無に近かったと思いますが(同時代のフランスでは女性のヌード写真はありましたが)、江戸時代の日本や昔のカナダで、性犯罪が多発していたでしょうか?また、今でも性表現を厳しく規制している中国は、レイプや痴漢が日本より多いのでしょうか?。一方、日本はここ10年、毎年、性犯罪の発生件数は増加の一途をたどり、しかも凶悪化しています。 もし、女性を守るためにポルノが必要だという考え方があるとすれば、誰がポルノに出るべきでしょうか、出演する女性は誰が守るのでしょうか。また、そうした考えは、「ポルノに出るような女性はふつうの女とは違う」という女性の二分化、女性が女性を差別すること、につながりはしないのでしょうか?なぜならポルノに出る男性も、見て楽しむ男性も、その欲望の視点はまったく同じであり、男性は二分化できないからです。女性を守るためにポルノが必要、という考えは、戦時中に日本の女性を守るために大陸で従軍慰安婦が必要、とした歴史を思い起こさせ、私はとてもつらく、複雑な気持ちになります。女性を犠牲にして、女性を守る気がするからです。そもそも性犯罪を減らすために、男性たちが気をつけることはないのでしょうか?この辺りは、いろいろな考え方があり、意見の分かれるところかもしれません。今後も引き続き、考えていきたいと思います。 私自身は、性犯罪は、女性への暴力、暴言、蔑視を肯定する風潮に原因があり、今の多くのポルノの大半が、そうした風潮を煽っていると考えています。 ポルノの人権侵害、見せたくない子どもの保護につていは、「ポルノ・買春問題研究会」http://www.app-jp.org/、また女性の人権問題に取り組んでいる女性の国会議員などが、関心をよせています。mayuさんからご質問がありましたが、上記のような組織や政治家の事務所へ、あるいはマスコミに、メール、手紙などを出されると良いかと思います。 ポルノという非日常的で難しいテーマでしたが、一週間、真剣なご意見をたくさん頂き、本当にありがとうございました。イー・ウーマンのメンバーのみなさまが、性表現について、知らないふりをするのではなく、自分の言葉で考え、身近な問題として真面目な投稿をお寄せくださったことに感動しました。コメントをお送り下さったすべての方に、心から感謝と敬意をお伝えいたします。 (最後に宣伝です。3月5日から、『赤毛のアン』の英語セミナーが始まります。原書で『アン』を読みたい方、どうぞご参加ください! 楽しく知的に『アン』の英語を味わいましょう) |
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