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もっと教育にお金を使おう
昨日、「報怨以徳」と書きましたが、「以徳報怨」(徳をもって怨みに報いる)のほうが、よく使われているようなので、「定説」という意味で、「以徳報怨」に直します。 「あれだけ経済力を付け、核兵器も原潜も保有する国に、なんで税金を投入して、ODAを供与するのだ」という意見が多くありました。私も、「その通り」とまず答えたいと思います。そのうえで、こういう事実もあります、ということを補足しておきます。 中国の国民1人当たりのGDPは約1000ドルで、世界銀行が「援助からの卒業」のプロセスに入る起点であるとしている5200ドルよりは、ずっと低い。 国民1人当たりという基準からすると、日本は中国よりもずっと高い東南アジアなどの国に円借款を続けている。 中国の場合、沿海部への援助は十分だとして、いま日本が援助している主力は貧しい内陸部のインフラ整備や、日本にも影響のある環境対策。 円借款は低利融資だが、円高によって、結果的に中国側の負担は民間銀行からドルを借りるのと大差なかった。 日本は核実験をしたインドやパキスタンへの援助を一時、抑制したが、9・11以降、対テロ戦への貢献を評価して、援助を再開した。 「卒業」を前提にしたうえで、内陸部のインフラ整備と環境対策には、そこそこの円借款を出す方が日本の国益にかなっていると、私は思います。内陸部のインフラが整備されれば、そこに「市場経済」が発達し、日本にとっての市場もできると思うからです。また、日本の経済発展を見ても、しゃにむに急成長を遂げている時代は、政府も企業も環境問題や公害に見向きもしません。中国も同じようなものだと考えれば、酸性雨や黄砂対策は、日本が積極的に取り組まないと、損をするのは日本ということになります。「情けは人のためならず」です。 「これまでとは違う援助や支援の形を」という意見もありました。その通りだと思います。そこで、提案したいのは教育への援助や支援です。もちろん、内陸部の貧しい地域の教育水準を向上させるために、資金を出すことは必要だと思います。しかし、日本びいきを作るという実践的な目的のためには、日本に来る学生のための教育支援をもっと考えるべきだと思います。 中国からの留学生の多くは、研修生と同様に、学問よりは、アルバイトに精を出しています。日本で暮らすためには、夜勤、深夜勤を続けなければ、成り立たないのでしょう。奨学金の制度をできるだけ充実させる必要があると思います。東名高速道路や東海道新幹線に世界銀行からの援助が入っていることは、私たち日本人も忘れがちですが、フルブライトなどの奨学金を受けた人たちは、一生忘れないと思います。 |
朝日新聞論説委員 |
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